【公立大学法人福島県立医科大学附属病院病院経営課副課長 中村孝】
2016年度の診療報酬改定では、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)が見直され、多くの病院が今後どのような機能を担うべきか岐路に立たされた。
特定機能病院や超急性期病院でも、看護必要度がより重要な意味を持った。将来を見通しながら、本当に必要な病床数や人的医療資源(看護師数など)や患者構成を見極めなければ、経営環境は厳しいものになるだろう。
団塊の世代が高齢化していく中で、入院患者数はいったん増える見込みだが、その後は人口減少を迎え、患者そのものが減少する。10年後、20年後を見据え、体制を整備する必要がある。今回は、将来的な体制整備を進める上でのポイントについて、自院での取り組みを基に考えたい。
なお、本稿で述べている意見は、あくまでも筆者の経験や実績などからの個人的なものであり、筆者が所属する組織の公式見解ではないことを申し添えておく。
患者数の伸びが期待しにくい中、収益の確保は当然重要だが、利益がより重要な指標となる。前期比で収益増であっても、赤字では意味がない。
これからは、一般病床と特定入院料の病床の適正な数について、事務職が明確に打ち出す必要がある。本当にそれだけの病床数が必要なのか、看護師数が必要なのかを問う必要がある。病床稼働率を優先し、在院日数が延びたりすれば、次年度以降のDPCの係数や報酬の評価が下がるのは当然だ。
機能評価係数Ⅱでも、効率性係数や後発医薬品係数については、自院の頑張り次第で最大値まで持っていくことは理論的に可能である。また、複雑性係数や重症度係数については、特定機能病院・超急性期病院、急性期病院は、医療連携を強化することでアップできる。
■入院期間Ⅱまでの退院率の重要性
どうすれば、医療を適切に提供し続けることができるのか。
大切なのは3つの目標を決めることだ。そのための指標が、①DPC入院期間Ⅱまでの退院率②新規入院患者数③入院診療単価(1日単価)-である。
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