それを受けて津留英智委員(全日本病院協会常任理事)は意見交換で、他産業並みの賃上げに医療現場が対応できない状況が26年度以降も続くと「大変な問題になる」と述べ、ほかのテーマとは別格での議論が必要だと強調した。
厚労省によると、病院や診療所に勤務する医療関係職種の賃上げを実現させるため、24年度の改定で新設された「外来・在宅ベースアップ評価料I」の届け出は25年4月ごろからペースが上がり、7月7日現在、全国の8,045病院のうち7,207病院(89.6%)とほぼ9割が届け出ていた。
これに対し、医科の無床診療所は8万4,035カ所のうち3万3,830カ所(40.3%)、有床診療所は5,339カ所のうち2,703カ所(50.6%)が届け出ていた。歯科を含む診療所全体での届け出割合は38.8%、病院と診療所を合わせた医療機関全体では41.3%だった。
厚労省はまた、外来・在宅ベースアップ評価料Iを届け出済みの7,247病院のうち7,059病院(97.4%)、有床診療所は2,712カ所のうち1,260カ所(46.5%)が「入院ベースアップ評価料」を届け出ているとするデータも示した(6月3日現在)。
全部で165通りある入院ベースアップ評価料のうち、病院(7,516カ所)は評価料16(1日16点)から評価料20(20点)の届け出が、有床診療所(1,353カ所)は評価料161(161点)から評価料165(165点)の届け出が多かった。
厚労省では、入院部門が小さく外来部門が大きい一部の有床診療所では、点数が高い評価料の届け出が必要になることがあるとしている。

■届け出ない理由「煩雑さ」が最多
一方、厚労省が24年度の改定後に行った「入院・外来医療等における実態調査」で、同年11月1日現在、ベースアップ評価料を届け出ていなかった348病院を分析すると、開設主体別では医療法人(社会医療法人以外)や公立病院の割合が、許可病床数の規模別では100床未満の割合が高かった。
また、ベースアップ評価料を届け出ていなかった313病院の55.3%が「届け出内容の煩雑さ」を理由に挙げ、最多だった(複数回答可)。
21日の分科会では、新型コロナの感染者に対応する看護職員らの処遇改善を促すため22年度に新設された「看護職員処遇改善評価料」との一本化や、ベースアップ評価料の届け出手続きの一層の簡素化を求める意見が相次いだ。
牧野憲一委員(旭川赤十字病院名誉院長)は、医療機関の賃上げの原資は本来、「評価料ではなく、入院基本料などの通常の診療報酬で賄われるべきだ」との認識を示した。
【関連記事】


