厚生労働省は、病院や介護施設への人材仲介の強化を加速している。昨年度、一部のハローワークで特定期間に実施した所長ら幹部の病院や介護施設などの直接訪問を通年で全国展開し、求人の開拓・充足支援の強化を図っている。【川畑悟史】
病院や介護施設などでの人手不足は他の職種を大きく上回る。厚労省によると、介護関係職種の有効求人倍率は2025年度平均3.98で職業全体(1.10)と比べると3.6倍。看護師・保健師・助産師も2.04と職業全体の2倍近い。民間の人材紹介会社を使い職員を採用するケースは多いが、その分、紹介会社に支払う手数料が病院や介護施設の経営を圧迫している。このため、無料で人材仲介するハローワークへの関心が高まるが、病院や介護施設など求人者への働きかけの弱さなどが課題とされている。
厚労省は昨年度、医療と介護、保育の3分野で「人材確保対策コーナー」を設置する124カ所のハローワークを中心に所長らが地域の重点病院や介護施設などを直接訪問し、求人開拓や充足支援に取り組んだ。「ハローワーク幹部が訪問し、病院や介護施設の経営層ら幹部から話を聞くことで、より状況に応じたアドバイスをする」(厚労省)ことが狙いだ。ハローワーク幹部が直接訪問の際に、▽賃金引き上げを含めた求人条件や求人票の書き方のアドバイス▽事業所の希望によるツアー型面接会や就職面接会の開催▽求職者への求人情報の提供や応募勧奨-なども行った。
厚労省は、この取り組みを医療、介護、保育についてそれぞれ3カ月間集中的に実施。所長が直接訪問した5日後に介護職1人の紹介・採用につながったり、看護助手の求人を開拓し、求人公開から10日後に1人採用できた病院があったりした。
3分野で合計4万5216件の求人を開拓し、感触をつかんだことから、厚労省は26年度から全国にある544カ所のすべてのハローワークでの最重点事項として病院や介護施設などを訪問し、求人開拓や求人充足支援を実施するほか、急募求人への迅速な対応などの取り組みを開始している。特定の分野を最重点事項とした取り組みを全国のハローワークで実施するのは初めてという。
こうした取り組みの効果が支援実績にも表れている。厚労省によると、3分野での採用実績は2025年度で約16.5万人。このうちの63%の約10.4万人は介護関係職種だ。厚労省は、「3分野いずれも減少傾向にあったが、介護は前年度比微増で、取り組みにより下げ止まった可能性もある」とみる。
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