中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は12月15日の総会で、政府の事業仕分け第3弾(再仕分け)で対象となった「医師確保、救急・周産期対策の補助金」(来年度予算の概算要求額297億円)について、行政刷新会議が「診療報酬改定で対応可能な事業の廃止」を求めたことに抗議する声明を出す方針を決めた。年明けに開かれる次回会合で、遠藤会長が原案を示す。政府の来年度予算案が来週中にも閣議決定されることから、予算編成における声明の効果を疑問視する意見も出たが、診療側の強い要望もあり、最終的に全会一致で合意が成立した。
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介護保険部会意見のポイント(上)
介護保険部会意見のポイント(下)
同補助金をめぐっては、昨年秋の仕分け第1弾で「予算要求の縮減(半額)」と判定されたため、厚生労働省が今年度予算の概算要求額(574億円)から266億円を削減。来年度予算の概算要求では、今年度当初予算より11億円減額した経緯がある。再仕分けで刷新会議のワーキンググループが、同補助金を「見直し」と結論付け、診療報酬改定で対応可能な事業や医師不足対策への実効性が不確かな事業の廃止を求めたため、前回総会で診療側の嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)が声明を出すことを提案していた。
■「中医協としての矜持守るべき」―嘉山委員
この日の総会では診療側、支払側、公益側の各委員から、再仕分けの結果に反発の声が上がった。診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、「補助金と診療報酬は基本的に性格が違う。どれほど理解して仕分けを行ったのか。根本的に異議があるということを申し上げなければならない」と強調。嘉山委員は「中医協としての矜持を守る意味でも意見を出すべきだ」と訴えた。
支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「診療報酬を上げるなという立場だが、配分のやりくりにも限界がある」とし、補助金の意義を説明。その上で、「削減するための理由に(診療報酬が)使われるというのは本末転倒も甚だしい」と怒りをあらわにした。一方、公益側の小林麻理委員(早大大学院教授)は、「社会保障の問題は避けて通れない国家の課題。それが仕分けの対象になるのか。政府の見識、能力が問われる」とし、声明を出すことに賛意を示した。
■老健局側が説明、同時改定の議論スタート
この日の総会ではまた、11月30日にまとまった社会保障審議会介護保険部会の報告書について、厚労省老健局の大澤範恭総務課長が説明。2年後の診療、介護報酬の同時改定に向けた議論がスタートした。報告書の中に両論併記が目立つことから、安達委員は論点を一本化し、現場の実態を反映するよう強く求めた。
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