中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶大医学部教授)は1月27日の会合で、人件費や施設整備費を調べるコスト調査の実施方法などを議論した。過去の調査では、抽出した医療機関に調査票を配布していたが、回収率が極めて低く、委員から「調査の精度を上げる工夫が必要」などの意見が相次いだため、今回は既にまとまった決算データをベースにした調査に改めることでおおむね一致した。
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コスト調査は、療養病棟における人件費や施設整備費を明らかにするのが目的。ただ、これまでの調査では、有効回答が調査対象の1割に満たず、分科会の委員からは、調査の精度や信頼性を疑問視する声も上がっていた。
27日の会合で大塚宣夫委員(医療法人社団慶成会青梅慶友病院理事長)は、「信頼性がないのは、調査の母数の少なさ(が原因)。母数をもっと増やすべき」と述べた。また、池上分科会長が「回収率を上げるためにも、できるだけ簡便な調査方法にすべき」としたのに対し、猪口雄二委員(医療法人財団寿康会病院理事長)は、「速やかに調査に取り掛かろうとするのであれば、既にまとまっている決算データをベースにするのが現実的では」と提案した。
こうした議論を踏まえて厚生労働省側は、昨年6月に実施した「医療施設・介護施設の利用者に関する横断調査」で対象となった療養病棟を有する1615病院を対象に、2009年と10年の2年分のデータを集めることで、診療報酬改定前後のコスト変化を調べる調査案を提示し、委員もおおむね了承した。調査には2月にも取り掛かる方針で、3月の分科会で進ちょく状況を報告する。
分科会ではこのほか、医療機関の収入を調べるレセプト調査を併せて実施し、今年度改定の療養病棟入院基本料の算定要件や評価区分の見直しの影響などを検証する方針も確認した。
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