中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶大医学部教授)は12月21日、今年度の初会合を開き、2012年度の診療報酬改定に向けた議論の進め方を大筋で了承した。今後、月1回程度の会合を重ね、調査・分析やヒアリングを行いながら、検討結果を来年夏に中医協の総会に報告する見通しだ。
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中医協は10月15日の総会で、(1)今年度改定における療養病棟入院基本料の算定要件・評価区分見直しの影響(2)慢性期入院医療の在り方の総合的検討(3)認知症患者の状態像に応じた評価の在り方―について、同分科会で調査・検証することで基本合意している。
これらを踏まえ、21日の分科会では、厚生労働省側が具体的な検討項目を示した。(1)では、医療区分(入院患者の医療ニーズの高さ)とADL区分(日常生活動作の状況)に応じた9分類ごとの収支差を見るため、レセプト調査とコスト調査を実施するほか、医療区分1(医療ニーズが最も低い)の実態について検証する。(2)に関しては、厚労省が6月に行った「医療施設・介護施設の利用者に関する横断調査」を詳細に分析するとともに、レセプト調査を用いた「特定除外患者」の分析も行う。
さらに(3)では、認知症患者の状態把握方法や適切な評価の在り方について、専門家からヒアリングを実施し、横断調査の分析と合わせて検討を進める。
横断調査の対象が医療療養病棟、一般病棟(13対1、15対1)、障害者病棟などのため、委員からは「ケアミックスの13対1、15対1と療養病床を持っていないところでは事情が異なる」と指摘する意見が出たほか、(3)については精神科病棟の認知症の評価も議論すべきだとの声もあった。
【特定除外患者】
一般病床への入院期間が90日を超える場合、通常、入院基本料が減額となるが(特定患者)、難病や重度の障害などの患者に関しては、病棟全体の平均在院日数のカウントから外れる。脳卒中と認知症については、地方厚生局への届け出が必要
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