中央社会保険医療協議会(中医協)の調査実施小委員会(小委員長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は2月16日、2012年度診療報酬改定の検討材料にするため6月に実施する医療経済実態調査の概要をほぼ固めた。病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局(調剤レセプト300件以上)向けの調査では、損益状況やスタッフの給与・賞与などについて、今年6月時点のほかに「今年3月末までに終了する直近の2事業年度」のデータを初めて集計する。
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厚生労働省が調査の実施案を提示し、大筋で了承された。3月上旬の中医協総会で正式決定される見通しだ。調査票は5月に医療機関へ送付し、7月末までの回答を求める。厚労省は、報酬改定の議論が本格化する10月末に結果を報告する方針だ。
医療機関向けの調査では、「退職給付引当金制度」の有無や、同制度がある場合の繰入額などの項目を新たに加える。調査対象の抽出率は、病院を現在の5分の1から3分の1に、一般診療所を25分の1から20分の1に引き上げる。また、薬局に関しては「在宅患者訪問薬剤管理指導料」と「居宅療養管理指導費」の算定状況に関する質問を追加する。
損益状況はこれまで、▽入院基本料別▽病床規模別(病院)▽療養病床の有無別(同)▽主たる診療科別(診療所)―ごとに集計していたが、今回は地域別でも集計する。
調査は、報酬改定がない年に実施しているが、近年は回答率が低迷し、小委では記入時の負担をいかに少なくするかが課題になっていた。09年に実施した前回調査では、一般診療所の有効回答率(44%)の低さが際立っており、今回は、個人立の一般診療所と歯科診療所に対して青色申告決算書から転記できるようにするほか、「流動資産」や「固定資産」などの項目は記入の省略を認める。
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