中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院法学政治学研究科教授)は4月20日の総会で、勤務医の負担軽減について引き続き議論した。その結果、薬物療法プロトコルの協働作成など、薬剤師の病棟配置による効果を検証するほか、拠点病院の負担を軽くするような地域連携の取り組み状況を調査することで合意した。
勤務医の負担軽減は、2012年度診療報酬改定に向けた優先議題の一つ。厚生労働省によると、薬物療法への参画や積極的な処方の提案など、病棟勤務の薬剤師が担う業務の多くは、勤務医の負担軽減につながると考えられるものの、診療報酬上は特段の評価がない。10年度診療報酬改定でも、その評価を検討するよう附帯意見が提出されていた。調査は、医療安全や薬物療法の質の向上といった観点からも、薬剤師の病棟勤務の現状を把握するのが狙いだ。
地域連携に関しては、拠点病院の勤務医にとって負担感が大きい外来診療について、地域の診療所などとの役割分担の現状を調べる。かかりつけ医との共同診療カードの導入や、連携担当職員の配置など、具体的な実践例を把握し、12年度診療報酬改定に向けて評価の在り方を検討する。
このほかの論点として厚労省側は、看護職員の負担軽減を提示。特に、2交代制・3交代制などの勤務形態について、詳細な実態調査が必要だとした。08年の医療施設調査(静態調査)によると、2交代制が66%、3交代制が31%で、2交代制が年々増加している。また、10年度の診療報酬改定で加算が新設された急性期病院の看護補助者の配置について、実際に負担軽減につながったかも調べる方針。
白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「病棟勤務の薬剤師がいるところといないところで比較して調査してほしい」と要望。嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)は、同センターで看護師の2交代制を導入したところ、離職率が18%から4-9%に減少したことを紹介するとともに、「現場で働く若い看護師の満足度を調べないと、実態と乖離しかねない」と訴えた。さらに、地域連携に関して、「都市部では、診療所の医師ががん専門医で、在宅医療をしているというケースがある」と指摘し、現状の把握を求めた。
また、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、外来診療の機能分担のイメージが自公政権下の社会保障国民会議での議論を下敷きにしているとして、「これを基に調査を決めて、空振りにならないか。(社会保障と税の)一体改革で、現政権の社会保障のあるべき形が出るまで待った方が賢明ではないか」との懸念を示した。
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