
キャリアブレインの取材に応じる岡井病院長
緊急性の非常に高い(グレードA)の帝王切開をした妊婦・徳本美和子(28)が死亡、遺族が病院を相手取って訴訟を起こし、主人公の産婦人科医・柊奈智(29)が、法廷で原告側の弁護士から、「あなたのミスが徳本さんを殺した。あなたが殺したんだ」などと責められる場面をリアルに描いた小説「ノーフォールト」(早川書房)などの著者で、愛育病院(東京都港区芝浦)の岡井崇病院長は、10月にスタートする医療事故調査制度(事故調)について、「今こそ、プロフェッショナルオートノミー(職業的自律性)を発揮できるかが試される」と話す。【君塚靖】
岡井氏は、「ノーフォールト」の最後、柊が結婚式を挙げる場面に、お祝いの手紙の中で登場する。柊にあてた手紙には、こう書かれている。 (残り2198字 / 全2680字)
たとえ力が足りなかったにしても、誠意を持って行った診療の結果に対する責任を、医療人としてではなく加害者として追及され、時に犯罪者のような扱いを受けることは、医師にとって苦痛以外の何物でもありません。訴訟を経験したことのない医師も今や状況をよく知っていて、その風潮には危惧を感じています。
(残り2183字/全2688字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】