【日本医業経営コンサルタント協会福井県支部 支部長 杉原博司】
地域包括ケア病棟は、地域医療構想の目玉と言っても過言ではない重要な役割を持って誕生しました。回復期に位置付けられていながら、サブアキュートを受け入れるという亜急性期的な役割を持ち、さらに2016年度診療報酬改定では、手術・麻酔が出来高算定になったことで急性期の色合いが濃くなってきました。
実際、今年1月の中央社会保険医療協議会(中医協)総会の資料では、地域包括ケア病棟等の届け出病床数が増加していることが示されました=グラフ=。しかし、回復期リハビリテーション病棟の約8万床と合わせても、第1回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会で示された25年の需要推計「亜急性期・回復期リハ等35万床」には遠く及ばない状況です。
今後も25年に向けた動きは加速していくことは間違いありませんが、それに対応する病院が適切な体制と運営を維持できなければ医療崩壊にもつながりかねません。今回は、 「視点③:ケアミックス病院で地域包括ケア病棟を運用する」 ケースを検証していきます。
■地域包括ケア病棟と回リハ病棟を併せ持つ病院とは
地域包括ケア病棟を導入する病院は、大きく次の3つのイメージに分けられるかと思います。
1)急性期病床の運用が主体で、1-2病棟を地域包括ケア病棟として運用する
2)すべての急性期病棟を地域包括ケア病棟に転換する
3)ケアミックス(急性期、回復期・慢性期)で地域包括ケア病棟を組み合わせる
3)の大きな違いは、「回復期リハビリテーション病棟を持っている」ということです。回リハ病棟を持たない病院は疾患別地域連携パスが機能している、回リハ病棟対象疾患の患者が病棟単位になるほどいない、施設基準を満たすリハビリスタッフの確保が困難であるなどの理由が考えられますが、いずれにしても回リハ病棟がない病院では、地域包括ケア病棟の運用はそこまで複雑ではないかもしれません。それに対し、 回リハ病棟と地域包括ケア病棟を併せ持つ病院における病棟運用はどのようになるのでしょうか?
次回配信は2月22日5:00を予定しています
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