厚生労働省は11月10日の中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の総会で、国内未承認または適応外の抗がん剤を高度医療の評価療養(保険外併用療養費)の枠組みに取り入れやすくするため、審査の簡素化などを盛り込んだ運用の見直し案を示した。
【関連記事】
【中医協】「5分ルール」見直しや明細書発行など調査票案を提示―厚労省
【中医協】医療機器3件を保険適用
【中医協】ドラッグ・ラグ、高度医療での対応で議論を開始
【中医協】既収載品同士の配合剤、一定条件下で処方日数制限課さず
【中医協】医療実調の議論開始、来年2月にも調査内容
未承認薬、適応外薬を用いる高度医療については、「高度医療評価会議」と「先進医療専門家会議」が技術や実施機関、実施計画書の3点の適否について審査している。
これに対し見直し案では、現行の審査手順は残したまま、同省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が医療上の必要性が高いと判断した抗がん剤について、審査の簡素化を図る新たな手順を盛り込んだ。新手順では、同会議の検討を踏まえることで、あらかじめ高度医療の対象となる技術を特定。また、技術のエビデンスレベルに応じて、実施可能な医療機関群を設定しておき、これらの機関群から技術の実施を希望する機関を募ることで、審査項目を実施計画書のみに絞る。
実施計画書の審査については、高度な知見を持つ外部機関が実施。ただ、外部機関での実施計画書の審査は、当面は適応外薬に関する技術を対象とし、未承認薬に関する技術には現行の審査手順が用いられる。
このほか、先進医療を通して得られたデータが一定の質を確保できている場合は、薬事承認審査時に活用することも盛り込んだ。
今後の議論は、まず抗がん剤を念頭に進められる予定だが、同省では「このスキーム自体をがんに限定して、ほかは全く見ないということではない」(担当者)としている。
(残り0字 / 全932字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】