中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)は11日の総会で、患者の外泊時、退院日、退院直後の各段階における訪問看護の課題について議論した。厚生労働省は、入院中に要介護認定を申請した患者が退院後、要介護度の判定が下りるまでの間、指示書に基づいた訪問看護を医療保険で可能にすることを提案。これに対して、診療側の賛否は分かれ、支払側からは「医療保険と介護保険の原則を変えるのか」などの反対意見が出た。
厚労省の提案に対して、診療側と支払側の委員からは、要介護認定は申請日にさかのぼって行われ、介護保険での訪問看護が暫定的に利用可能なため、医療保険への適用拡大を疑問視する声が上がった。
診療側の嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長、山形大大学院教授)は、「今後、DPCの問題も出てくる。どうバランスを取るのか」などと述べ、医療の必要度が高い患者は、あくまで入院・外来で対応すべきとした。また、支払側の白川修二委員(健保連専務理事)も、「介護保険と医療保険の適用の原則を変えるほど重大な問題なのか、全く理解できない。医療ニーズが高ければ入院、もしくは外来というのが当たり前の話だ」として、介護保険の適用が望ましいとの考えを示した。
こうした意見に対して、福井トシ子専門委員(日本看護協会常任理事)は、入院中のケアプラン作成が進んでいない現状を指摘。その上で、「現場から見て、1か月は必要だと感じている」と述べ、患者の再入院を防ぐためにも、慎重な制度設計を求めた。
一方、診療側の西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は、「広い意味での在宅医療、訪問看護で少し療養することによって、(再入院しても)早く退院したり、介護の方にうまくつなげたりできる実例はあると思っている」とし、厚労省案に賛意を示した。
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