中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は1月21日の総会で、昨年秋の事業仕分け(再仕分け)で「診療報酬改定で対応可能な事業の廃止」と判定された「医師確保、救急・周産期対策の補助金」に関して、「診療報酬だけで現在の医療が抱える課題のすべてを解決できるものではない」とする意見書を出すことを正式に決めた。遠藤会長が近く、蓮舫行政刷新担当相と細川律夫厚生労働相にあてて提出する。
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意見書では、「一律に診療報酬改定で対応可能な事業を廃止とすることは、単なる公費から保険料・患者負担への振替に過ぎない」と指摘。また、中医協では「特に対応が必要であるとされた分野について診療報酬で対応している」と説明した上で、「診療報酬で対応可能であるとみなして、それを理由に事業を廃止・削減しては、必要な医療を確保することができず、国民の立場からは望ましいものではない」としている。
診療側の嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)は、「事業仕分けはお金と事業を削るだけで、それを医療でやっては医療崩壊が進んでしまう」との危機感を示し、両大臣に意見書を提出することを求めた。
同補助金をめぐっては、一昨年秋の仕分けで政府の行政刷新会議が、「予算要求の縮減(半額)」と判定したため、厚労省が今年度予算の概算要求額(574億円)から266億円を削減。刷新会議は再仕分けでも「見直し」と結論付け、報酬改定で対応可能な事業や医師不足対策への実効性が不明確な事業の廃止を求めた。政府の来年度予算案では、概算要求段階より29億円減の267億円が計上されている。
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