中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は1月21日に総会を開き、調整係数の廃止後、基本的な診療機能を評価する「基礎係数」を病院群ごとに設定する内容の厚生労働省の見直し案をめぐり協議し、中医協として導入の検討を進めることで合意した。一方、現行のDPC制度からDRG/PPS(1入院当たりの定額報酬算定)への移行については、入院期間短縮に伴う退院患者の受け皿不足などが想定されることから、現時点では「時期尚早」との認識で一致した。
【関連記事】
調整係数は原則廃止、病院群ごとの「基礎係数」に―12年度改定で厚労省案
【中医協】医療機器72件の保険適用を了承
【中医協】医療と介護の連携に向け、検討事項を整理
【中医協】蓮舫担当相と細川厚労相に意見書提出へ
【中医協】退職引当金も調査に追加、医療実調で実施案
厚労省の見直し案は、現在のDPC対象病院を施設の特性によって幾つかの病院群に分類した上で、現行の調整係数に代わり、診療報酬改定前2年間の出来高実績データから算出した病院群ごとの平均値を「基礎係数」として設定。見直しに伴う医療機関への影響を軽減するため、包括評価に「一定幅」を上乗せするというもの。
これまで中医協では、調整係数を段階的に廃止する一方、それに代わる機能評価係数2(新係数)で医療機関の機能を評価する方向で検討が進んでいたが、すべてを新係数に置き換えることは困難なことから、13日のDPC評価分科会で厚労省が見直し案を示した。
総会では、診療側の西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)が導入の検討を進めることに賛意を示した上で、「一定幅は今の段階では必要だと思うが、考え方によっては調整係数と同じ意味ではないか」と指摘。また、嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)は「(調整)係数に差があることは健全ではないかと思っている。平均化すると、頑張っているところのモチベーションが下がるのではないか」と問題提起した。
一方、総会に出席した西岡清・DPC評価分科会長(横浜市立みなと赤十字病院名誉院長)は、「特定機能病院が必ず特定機能病院(の群)に入れるかどうか、これも検証する。病院の機能特性や地域特性等を考えながら、グルーピングができないかということだ」と述べた。
■精神科患者へのDPC拡大、データ解析踏まえ判断
総会ではまた、いわゆる総合病院の精神科病棟における身体合併症を持つ患者をDPCの対象に拡大するかどうかを判断するため、今後、データの解析を進めることで合意した。
(残り0字 / 全1278字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】