中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)は7月27日に総会を開き、政府・与党がまとめた税と社会保障の一体改革案について議論した。委員からは、外来患者の窓口負担に100円程度を上乗せする「受診時定額負担制度」に対する批判が集中。改革案に盛り込まれた診療・介護報酬の体系的な見直しに向け、厚生労働省側は、秋口にも今後のスケジュールを示す見通しだ。
診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、医療保険制度に基づいた窓口負担に一定額を上乗せすることについて、「加入者全体の共助という国民皆保険の基本的な概念を大きく突き崩すという点で極めて問題だ。財政中立という技術上の問題で乗り越えることは決して許されない」と非難した。
また、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、「財源について、(改革案の中に)保険料の見直しが書かれていないというのはどういうことだ」と疑問を呈した。その上で、「特に大企業の健保組合などの保険料率が低い。これを協会けんぽ並みに引き上げるだけでも増収効果がある」と述べ、保険料に関する議論を求めた。
受診時定額負担制度に関しては、社会保障審議会の医療保険部会で話し合うことになっているが、中医協での議論を求める意見が相次いだ。支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「患者の負担、あるいは保険財政に与える影響を考えると、中医協での議論なしで済ませるわけにはいかない」と強調。公益側の関原健夫委員(日本対がん協会常務理事)は、医療保険部会で方向性が決まる前の段階で、中医協としての見解をまとめる必要性を示した。
■来年度改定の議題を例示
一方、厚労省保険局の鈴木康裕医療課長は、「2012年度改定はある意味、一里塚になる」とし、来年度の診療報酬改定の議題として、▽高度急性期の病院など、急性期医療への医療資源の集中投入▽亜急性期と慢性期医療の機能強化▽看取りを中心とした在宅療養支援機能の強化▽訪問看護に関する給付費―などを例示した。
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