2012年度の診療報酬・介護報酬同時改定に向け、改定率を決めるための財務省と厚生労働省による折衝が9日に始まりました。この日、記者会見した小宮山洋子厚労相は、診療報酬全体の引き上げを主張する方針を明示。同日の折衝に臨んだ藤田一枝厚労政務官も、「今後も厚労省としては、(診療報酬全体の引き上げを求める)線で押し続ける」と述べ、強気で交渉を進める姿勢を示しました。一方、安住淳財務相は13日の閣議後の記者会見で、診療報酬本体部分の改定率のについて、「マイナスということもやむを得ない」と述べています。一方、中央社会保険医療協議会(中医協)は7日の総会で、12年度診療報酬改定に関する意見書をまとめました。意見書では改定率に関し、これまでの中医協での議論を踏まえ、適切に対応するよう求めています。
■7日(水)中医協総会
12年度診療報酬改定に関する意見書をまとめ、小宮山厚労相にあてて提出した。予算編成の過程で内閣が決める改定率に関しては、政府の行政刷新会議が行った「提言型政策仕分け」で本体部分の「据え置き」や「抑制」を求める意見があったことに言及。これまでの中医協の議論を踏まえた「適切な対応」を求めた。
【中医協】診療報酬改定の意見書を提出- 改定率は「適切な対応」求める
/news/entry/36157 病院勤務医や看護職員の負担を軽減するため、手厚い看護補助者の配置を評価することを厚労省が提案した。急性期看護補助体制加算の区分に「25対1」を新設する一方、現行の「50対1」「75対1」は点数を引き下げることを想定している。
【中医協】看護補助者の手厚い配置を評価- 「25対1」新設も
/news/entry/36163 患者のクレームに対応する相談窓口を設置するなど、患者へのサポート体制を整備している医療機関を評価することを厚労省が提案した。職員に対する暴力や暴言、セクハラなどへの具体的な対応策をあらかじめ準備している医療機関を評価する案も示した。
【中医協】患者の苦情対応を診療報酬で評価
/news/entry/36164 薬剤師の病棟での業務を評価する案を厚労省が示した。病棟で患者の状態に応じた処方の提案などの業務を薬剤師が行うことで、勤務医らの負担軽減や薬物療法の質の向上などが期待できる。
【中医協】薬剤師の病棟業務を評価
/news/entry/36168 「回復期リハビリテーション病棟入院料1」を算定する病棟のうち、手厚い人員配置を敷いて重症患者に対応する場合の評価を充実させる方向。心大血管疾患リハビリテーションなど疾患別リハを早期から実施すると算定できる「早期リハビリテーション加算」は、発症または手術後14日目までの実施を手厚く評価する。
【中医協】回復期リハ1「評価にめりはり」
/news/entry/36176 「医師事務作業補助体制加算」(医療クラーク加算)に関しては、医師の事務作業を補助する医療クラークを、一般病床の数に対し「30対1」などに配置した場合の評価を新設する方向性を示した。一方、配置が手薄な「75対1」や「100対1」への評価は引き下げや廃止を検討する。10年度の報酬改定で新設された「栄養サポートチーム加算」(NST加算)については、看護配置「13対1」と「15対1」の一般病棟や、療養病棟などにも算定を認める。
【中医協】医療クラーク加算、区分新設へ
/news/entry/36166 長期収載品(後発品のある先発品)の薬価を追加で引き下げることを大筋で了承。追加引き下げ率は決まっていないものの、12年度診療報酬改定での薬剤費全体の削減額は厚労省が2日に公表した約5000億円(試算値)を上回ることが確実となった。
【中医協】長期収載品薬価、追加引き下げへ
/news/entry/36158 管理栄養士などのスタッフが共同で入院患者の栄養管理を行った場合、一日12点を算定できる「栄養管理実施加算」などの診療報酬について、入院基本料や特定入院料と統合する内容の見直し案を提示。
【中医協】栄養管理加算は入基料に統合
/news/entry/36167 ■9日(金)12年度同時改定、厚労・財務省の折衝開始
12年度予算編成をめぐる厚労、財務両省の折衝が始まった。同日、吉田泉財務政務官との折衝を行った藤田一枝厚労政務官は、民主党のマニフェストに診療報酬の引き上げに取り組むことが明記されている点を背景に、「かなり強気で交渉に臨んだ」とした。
12年度同時改定、厚労・財務省の折衝開始―診療報酬全体の引き上げ「強気で交渉」
/news/entry/36184
■9日(金)小宮山厚労相 閣議後記者会見
12年度診療報酬改定の改定率をめぐる財務省との予算折衝で、全体でのプラス改定を主張する方針を示した。「医療提供体制を充実させていくことは、社会保障改革の大事な部分」と指摘し、勤務医の労働条件、医師の地域偏在などの問題解決に必要な財源を確保したいとの考えを示した。
診療報酬全体のプラスを主張へ- 予算折衝で小宮山厚労相
/news/entry/36179
■9日(金)DPC評価分科会
DPC対象病院による地域医療への貢献などを評価する機能評価係数2について、12年度診療報酬改定での見直し案を大筋で了承した。評価項目は新設せず、10年度に導入した現行6項目のうち、「データ提出指数」など3項目の評価方法を見直す。特に「地域医療指数」に関しては、救急医療などに実際にどれだけ貢献したかを新たに評価する。
DPC地域医療指数、実際の貢献度を評価へ
/news/entry/36189 ■13日(火)安住財務相 閣議後記者会見
12年度診療報酬改定の改定率の本体部分について、「今、物価スライド等を考えれば、(厚労省に)提示をさせていただく段階では、やはりマイナスということもやむを得ない」との認識を示した。今後、与党や同省とさらに協議を進める。
本体改定率、「マイナス提示やむを得ない」
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